キリ (桐)

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樹名

キリ
分類  ノウゼンカズラ科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡灰白色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

淡灰白色 

腐食耐久性  強い
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  強い
斑の模様 

不明瞭

糊付接着性  良好 
硬さ状況  軟材 乾燥加工性  困難

  

分布:キリは北海道と四国を除いた全国に広く分布。会津盆地、築波山麓、福島浜通りに良材が蓄積されている。五月には、華やかな花を咲かせるので遠目にもキリの木が良くわかる。キリの伐採時期は梅雨入り前だけ。伐採したキリは、梅雨の長雨にさらされて灰汁が抜け、きれいな白銀色になり冴えた光沢が出る。

 

和家具でおなじみの材

 

福島県の会津周辺から関東にかけて、昔からの習慣で女の子が生まれるとキリの木を数本植えました。キリの伐採が出来る頃に嫁入り道具のタンスや長持ちが必要となるからです。キリの若木のある家には嫁入り前の娘さんがいるという印でもありました。

 

キリ材の特性は水に対する吸湿性・吸水性が著しく小さいことです。大気中の水分による適度な収縮・膨張があり、火に対しては表面がすぐに焦げて炭化し、それ以上の中が燃えなくなる事、及び、熱伝導率が低いという特殊な性質がある事です。金庫の内張にはこの性質を利用して、キリ材だけが使われています。

 

キリの下駄は滑らず、足に良くなじんでカラコロと鳴る音も軽快で心地よい物で、一枚物で柾目の下駄が最高級品とされています。

 

琴、琵琶の胴にはキリ材が刳り抜かれて使われています。琴の生産地は中国地方です。正倉院にはクゴというハープ系の古代琴の原型が保存されています。桐丸太ほ刳り抜いた胴があり、帆掛け船のように弦を上に張った楽器で、琴の原型といわれています。

 

家具にはタンス、火鉢、碁盤の上箱などの和家具に使われ、羽子板、能面、漁具の浮き子にも使用されます。桐タンスの長所は古くなっても修理して新品同様に直せる事です。絵画用チャコールや眉墨の原料にはキリが最上、桐灰(きりばい)は茶席に欠かせない物です。

カツラ (桂)

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樹名

カツラ
分類  カツラ科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

赤褐色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

帯黄白色 

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  中庸
斑の模様 

不明瞭

糊付接着性  良好 
硬さ状況  軟材 乾燥加工性  容易

  

分布:桂は日本全国に生育が認められる。一般に桂は青桂と呼ばれるものが多く分布図の赤い地域から緋桂(ひがつら)と呼ばれる材質の良い木が採れる。

 

同じ樹種でも性質の違う”緋桂”と”青桂”

 

カツラは山間の肥沃な谷筋の温暖な場所に生息していますが、緋桂は特に平らな場所に生育しています。有名な山地としては北海道の日高市庁、東北の十和田湖周辺に限られています。特に日高の沙流川、厚別川、新冠川の上流地域は良質材の山地です。桂は日本にのみ生育している固有種です。

 

材色がきれいな朱紅色の心材の緋桂は辺材が非常に薄く、アテの少ない素直な材質で切削加工性が非常に良く、彫刻などに使うカツラ材はこの緋桂でないと狂って使い物にならないといわれています。

 

加工もしやすくスムーズな仕上がり面が期待できます。広葉樹の中では軽軟な部類に入ります。材質は均一で割裂性が大きく切削加工は容易ですが、春目から欠落する事があるので、注意を要します。強度は比重に比べ強くはなく、保存性もさして良い方ではありません。東北地方では仏像に使っている例が数多く見られます。

 

一方、青桂はアテ部が多く辺材も深くて、緋桂とは全く別な樹種のような性格をした木材です。長野の善光寺には曲がり柱という有名な柱がありますが、わざとねじって建てたものではなく、アテによるねじれが経年変化により徐々に起こって自然とよじれたものと推量されます。大径木が多いため幅広板が良く採れます。むしれ、歯切れの悪さなど加工性に多少劣りますが和裁裁断板、張り板、まな板、もく型材彫刻材などの用途があり、日光の中禅寺湖畔の一木作りの仏像が有名です。

 

彫刻材としてはホオの木の方が木目から欠落する事が少なく優秀ですが、刃切れの良さと幅広や大物が採れるのはカツラに勝る物はありません。日高産の緋桂は澄んだ朱色をしていますが、十和田の緋桂は日高ものと比べると、辺材が深く材質もやや硬いような見受けます。材色も東北物は褐色がかって辺材も深く変色しやすいので、製材後に乾燥を迅速にする事が必要です。東北や北海道では青桂を化粧梁に使用する例が見られます。

 

ホオ ホオノキ (朴)

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樹名

ホオ
分類  モクレン科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

沈灰帯青緑色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

灰白色

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  弱い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易

 

分布:ホオは木材界では「朴」と書き、一般にはホオノキと呼んでいるようである。東北、北海道の営林署では、「ホホ」と入札の書類などには書いている。ホオノキは全国的に分布している。

 

彫刻に最適な加工性

 

ホオノキは北海道の日高山脈の周辺で、白太の薄くて曲がりの少ない良質材が産出します。奥羽山脈周辺から出る材にも良材がありますが、少々曲がりが多い木があります。ホオノキはアテがほとんど無いのが特徴で、多少の曲がりは狂う要因にはなりません。

 

ホオノキの良材は、赤味の色が明るい薄青色の少し緑かかったものがあらゆる点で性質が良く、さらに白太の少ないものほど、良いとされます。

 

ホオノキは切削加工性が非常に良く、切削時に春目からの欠落が少ないので、彫刻に最適の材質といわれています。戦後の復興期に、電気炬燵が普及し始めた時、炬燵櫓(やぐら)の骨材として大量に使われました。 刃当たりがよいので、まな板にも使われています。刃物が錆びない性質があるといわれ、刀の鞘にはホオノキだけが使われます。

 

合板の製図板が普及する前はホオノキ材の無垢の製図板が主流でした。朴歯という高下駄の台はキリですが、脚歯にはホオノキを使うのでホオ歯と呼ばれて、その時代の学生の必需品でした。また、ホオノキの炭は金銀の研磨剤になります。

 

ポプラ イエローポプラ

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樹名

ポプラ・イエローポプラ・ユリノキ
分類  モクレン科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄褐色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

灰白色

腐食耐久性  やや不良
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  やや不良
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  やや軟 乾燥加工性  容易

  

分布:ポプラは百合の木、ハクテンボクとも呼ぶ。チューリップツリーは日本の公園で見られ、ホウノキ、こぶしと同じモクレン科の木である。アパラチア山脈の周囲に自生し、オハイオ河渓谷から大木の良材が産出される。フロリダ北西に同じ葉型の木があるが、小型の庭木で用材には成らない。イエローポプラの白太はホワイトウッドの別名がある。北海道の風景の代表的な物にポプラの木があるが、これは西洋箱柳であり、全く違う木である。

 

大径木があり木型材などに適する

 

イエローポプラは取引の際には単にポプラと呼ばれます。木目がほとんどわからないくらいに見えず心材色は濃い緑色から紫色がかっています。辺材は灰白色で区分が明瞭で、境界線は明瞭ではありません。樹高は40m、直径は1mくらいになるものもあります。比重は0.45で日本のホオノキよりやや軽量です。滑らかな木肌をしていて秋目が柔らかく切削加工は非常に容易です。日本のホオノキ材よりも切削加工性はよいかも知れません。

 

乾燥も容易で、収縮や狂いも少ない木です。釘打ちに対しても抵抗が少なく割れがきません。

 

塗装の下地としては最適な木材です。玩具類、建具、ドアー、合板によく使われます。ボーリング場のアレーをセパレートしている半円形の溝型ガダーはポプラの成形合板で作られ、ボールリターン通路上のダブルディビジオンとシングルデビジョンのカバーはこのポプラ材が使われています。合板がなかった時には製図板に使いました。

 

日本のホオノキ材に比べて大径木があるので木型材に適しています。難しい形状の試作品を作る場合ポプラで作った模型に塗装をよくするとかなりの強度が出るので、鋳型を作るより安価なので機械モデルに使われる例があります。 

 

セン(栓) ハリギリ(針桐)

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樹名

セン、ハリギリ
分類  ウコギ科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡灰褐色 

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

白色

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  不鮮明 摩耗耐久性  強い
斑の模様 

不鮮明 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易

 

分布:日本全土に広く分布。北海道東北部方面から良材が出る。

 

漆器の木地として、ケヤキに似た仕上がり

 

ハリギリは日本全土に広く分布して随所でよく見かけます。若木の時には樹幹に針のような刺があり、ハリギリの名が付けられています。

 

肥沃な地に生育するので、地味判定の試験用木として植林されています。針桐が育つ所は肥沃な土地であり、育たない場所は地味が悪い所です。

 

ハリギリの木材名はセン(栓)です。北海道東北部方面から良材が出、関西方面の材木屋ではツブという名で取引されています。漆器下地に使われるとケヤキと間違えるほど木目が良く似ています。

 

センには糠栓(ぬかせん)と呼ばれる性質の良い種類と、オニセンまたはタランボセンと呼ばれる材質の硬い材があり、それぞれ使用途が区分されています。ぬか栓は材質が柔らかく木目も素直で加工が容易な材質の木です。オニセンは木目が淡い飴色でアテが多く狂いやすい木で、カンナ掛け加工では縮れることがあります。塗装するとケヤキまがいに仕上がるので、ケヤキの代用として椀などの漆器木地に使われます。細物は鉄道枕木にされます。

  

ヌカセンは以前は1尺〜1.2尺幅の5分板や6分板に製材されて、和家具の茶タンス、ちゃぶ台、下駄箱などに使われました。糠目が狭すぎる材は腐食が始まっているものであって、多少黄色味を帯びています。

 

多少鬼目かかった光沢のある糠目が最良の材質とされ、突き板向きです。合板も古くから作られてアメリカやドイツに多く輸出されています。

 

柾目の突き板は欧州方面で好まれフリッチで輸出され、ホワイトアッシュ物を凌駕する上質材としての地位を得ています。突き板にされて壁面や家具に使われる場合には、オニセンでないときれいに仕上がりません。栓材の6尺の「へら」を炉端焼きの料理で使用シャモジに使います。

キハダ(黄肌) キワダ シロコ

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樹名

キワダ、キハダ、シロコ
分類  ミカン科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯緑黄褐色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

灰褐色

腐食耐久性  やや弱い
芯・辺境界  不鮮明 摩耗耐久性  やや弱い
斑の模様 

中庸 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易

 

分布:全国的に分布し、良材は北海道北見方面から産出されます。高湿度の山間部谷間の土層が深く排水が良好な場所を好んで繁殖します。

 

日用の家具材として親しまれてきた材

 

植物学上では樺太方面に多いカバフトキハダは別名をヒロハノキハダといいますが関西方面に多いミヤマキハダとは区別が付きにくく、総称としてキハダの名が使われています。北海道の木材業者はシコロと呼び、エンジュもシコロというので良く言葉の前後を確かめないと混同します。

 

樹皮にコルク相が良く発達するので、コルクツリーと言われますが、コルクとしては使えません。

 

キハダから黄柏(ほうばく)という漢方薬を取ります。8月頃に根際から樹皮を切り剥がし、内皮の黄色部分を日に干して黄柏を作ります。黄柏の粉末を食後に服用すると下痢止めに有効があり粉末を食酢で練って打ち身やねんざ部に冷湿布すると痛みを取る蒼薬になります。熊の胆、御百草と共に有名生薬の高野山の陀羅尼助(だらにすけ)は、キハダから採れる妙薬です。一番長いお経の陀羅尼助を唱える時にこの薬を口にすると、その苦さで眠気を覚ましたと言われるほど苦い薬です。洗顔薬、打撲に効きます。黄色に染める染料顔料として最高の物で、藍と混合し深い緑色を作ります。

 

アテの少ない素直な材質で、ちゃぶ台、茶箪笥、下駄箱のような日用品に大きな需要がありました。ケヤキやクワで作った最高級品に次ぐ中級の道具として、キハダの物は杉の普及品より一段と趣向が上品な物でした。キハダは茶褐色で落ち着いた仕上げになり、純和風の感触が出ます。軽くて丈夫で仕上げ次第ではクワまがいになります。水湿に強く枕木にされ北海道では土台や流し場の板などに使われて長持ちするので好評です。

 

トチ(栃) トチノキ

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樹名

トチ、トチノキ
分類  トチノキ科 鋸挽加工性 

やや困難 

芯材の色 

帯紅黄白色

鉋掛加工性  やや困難
辺材の色 

帯紅黄白色 

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  不明 摩耗耐久性  弱い
斑の模様 

不鮮明 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸粘質 乾燥加工性  やや困難

 

分布:トチは北限の北海道銭函から以南の本州四国には多く見られ、特に、東北地方の谷筋の肥沃な土地に群生する。栃木県は県木をトチとしているが、量的にはそれ程多くは生育せず、九州には無いと言って良いほどしかない。

 

リップルマークと呼ばれる木目が人気

 

マロニエはトチの木科の樹木で、セイヨウトチノキといいパリ街路樹で有名です。

 

日本にはトチノキ科がこの一種だけで、樹高30m直径2mに達する大木もまれではありません。5月には花が咲き、10月には種子が出来ますが、トチの実には苦みがあるので色々な工夫をして栃餅を作ります。トチの葉は弁当箱の代用にされたりして食器の代用にされました。

 

トチは辺材と心材の境はシナやカエデと同様にほとんど判別は出来ず、心材部分の中心にさらに心材のような偽心という全く利用価値がない硬く粘りのある部分ができます。

 

トチはカキと同様に細胞の並び方が特殊でリップルマークと呼ばれる木目が出る特徴があります。大径木であることとこのリップルマークを利用して床の間の地板に使われ定番品になっています。

 

トチの大木には杢が出ますが、1寸(約3センチ)に10個の割合で縮杢が出ているものをトチジミといって銘木扱いにされます。

 

床柱、落とし掛けや床框にも使われ家具類の側板にも使われます。一般材として使用する場合には変色菌がつきやすいので早期に人工乾燥する方が安全です。バイオリンの胴裏板にもされますが裏板はシカモアが一級品でトチは普及品です。

 

そば粉練り椀や、餅つきの臼などはトチを加工して作った道具で、古くから親しまれています。

 

鑑賞価値や装飾性のあるトチ材は色が白いアオトチと呼ばれるもので、偽心やそれに近い色の材色が均一でなく赤い物はアカトチと言われて敬遠されがちです。マキとして燃料にしても火力が無く、特に偽心部は、パルプや木炭にも成りません。樹皮から採れるタンニンはなめし革用に使用されます。

 

シロラワン ホワイトメランティ

らわん1.jpg

樹名

シロラワン
分類  フタバガキ科 鋸挽加工性 

やや困難 

芯材の色 

心白色

鉋掛加工性  やや困難
辺材の色 

白色 

腐食耐久性  やや不良
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  中程度
斑の模様 

明瞭繊細 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  やや困難

 

分布:ラワンはフタバガキ科の巨木で南洋材の代表的存在の樹種です。フィリピンではラワンと呼び、マレーシア、サバ州のボルネオ島北部ではセラヤと呼び、インドネシアのカリマンタン地区はメランティと呼んでいます。フィリピンのルソン島から出る材質の硬いラワンは、タンギールと現地で呼びますが、フィリピンマホガニーの別名が欧州に輸出される場合の商品名になっています。

 

戦後の復興を支えた庶民的な木材

 

フタバガキ科の巨木で、南太平洋の代表的存在の樹種です。ホワイトメレンティ、ホワイトセラヤ等を白ラワンと呼んでいます。

 

戦後の復興期の住宅建設にラワン合板は不可欠な資材でした。製材品としても無節の幅広材が割安な価格で入手できたので、住宅の内装や家具に大量に使用されました。

 

第二次大戦後、急速に消費量の増えたラワン材は、最初に材質や伐採環境の良いフィリピンミダナオ等から伐採されます。現在では製材品での輸入が主流になっています。

 

メルサワ

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樹名

メルサワ
分類  フタバガキ科 鋸挽加工性 

やや困難 

芯材の色 

淡黄褐色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

淡黄色 

腐食耐久性 
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  中庸
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸硬め 乾燥加工性  困難

 

分布:ミャンマー、タイ、インドシナ大陸部からマレー半島、フィリピン、ボルネオ、スマトラ、ニューギニアなど、広範囲に分布。

 

虫害に弱く屋外には不向き

 

メルサワは、フタバガキ科の中で最も広く分布している木材の一つです。

 

材の色調は淡黄色から淡黄褐色で心材と辺材の区別はやや不明瞭で、心材は辺材よりいくらか濃い色になります。辺材は青カビに冒されやすいので注意が必要です。

 

肌目は粗く、柾目は交錯木理になっているため逆目が出やすい。

 

材質は軽軟から中硬で、乾燥にかなりの時間を要します。 

 

用途は、扉、窓枠、下見板、床、羽目板など建築内装、造作材としても利用されます。また単板にて合板にし、家具用材としての需要もあります。 

 

防腐剤の注入は困難で、虫害にもかかりやすい材なので、屋外での使用には不向きな材です。

 

サワグルミ(沢胡桃)

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樹名

サワグルミ
分類  クルミ科サワグルミ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡黄白色

鉋掛加工性  やや困難
辺材の色 

淡黄白色 

腐食耐久性 
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  中庸
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  軟材 乾燥加工性  容易

  

分布:サワグルミは別名をヤマギリ、寿香木ともいう。東北から関東西部にかけて山間の沢沿いの湿地帯に群生し、樹高は25m直径1mくらいになる。

 

キリに次ぎ、軽い材料

 

樹幹は直状で枝下が長くて利用部分の多い木です。桐に次いで軽く色白なので、下駄にされ、引き出し側板やマッチの軸にも使われ、樹皮は皮箕(かわみ)といい山小屋等の屋根葺きに使われました。

 

家具の側板には、板幅を接ぎ集成ランバコアー状の幅広材にして家具メーカーに供給されています。材質は軽くて軟材ですが、ノコギリの歯切れはあまり良くなくむしれがで安いので、仕上がりがきれいになりません。変色や腐食も入りやすく割れやすい欠点があります。

 

里の近くに生育しているので、蓄積量が意外と多く枯渇の心配の少ない有望な資源の一つです。

ドロヤナギ(泥柳)

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樹名

ドロヤナギ、ドロノキ
分類  ヤナギ科ハコヤナギ属 鋸挽加工性 

稍困難 

芯材の色 

帯渇灰色

鉋掛加工性  稍困難
辺材の色 

灰白色 

腐食耐久性  強い
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  強い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸粘性 乾燥加工性  やや困難

 

分布:ドノロキは北海道ではドロヤナギと呼んでいる。日本での分布は、兵庫県及び静岡県以北の本州と北海道。北方系の樹木なので朝鮮半島からウスリー、アムール方面に広く生育している。北米のほぼ全域にも広く生育しているが、東部のものは単にコットンウッドと呼ばれ、西部の樹種はブラックコットンウッドと呼び若干性質が違うとされている。

 

楊枝やマッチなどでなじみ深い材

 

非常にアテの多い木で、アテの部分は繊維がむしれて、切削が容易ではありません。反面弾力性の強い木なので丸木船や船縁に使われます。材質が無味無臭という大きな特徴を持った木なので、径木にされたり食器用箱や木枠、樽にされます。衝撃を吸収する性質があるので弾薬箱にはこの木だけが使われました。

 

薄くして着色し編んで工芸品を作ります。磨耗にも強いので下駄にされます。この木を墨にすると柔らかな木炭ができ黒色火薬の原料にされます。日用品の柳橋、楊枝、マッチ棒と箱などでなじみの深い樹種です。

ジェルトン

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樹名

ジェルトン
分類  キョウチクトウ科 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

麦わら色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

麦わら色

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  弱い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易

 

分布:ジェルトンはボルネオのカリマンタン地区とマレーシア半島の台地の乾燥地に自生している。フィリピンやニューギニアには生息が認められない。

 

ガムの原料としても有名

 

この樹木の樹液からは天然チクルというチューインガムの原料が採れるので、木材としてよりもガムの原料として有名です。 

 

ジェルトンの材色は乳白色で、木目が判然としない均一な材質をしています。比重はラワンと同程度ですが、乾燥収縮が少なく彫刻をするのに適しています。木型模型、合成材の心材、額縁材などに使って好評です。北海道のシナ材と同様に、能面制作の練習用として多用されます。有名な用途はハイヒール靴の踵の台木で婦人靴製造には欠かせない重要資材です。

 

製材・乾燥・加工は容易ですが表面に付着したカビにより青くなる変色が早く起こるので、製材後のオガ屑除去や早期の人工乾燥処理が必要です。需要に比べ輸入量が少なく、市中在庫量は常に不足気味で推移しています。

 

ジェルトンは非常に歯切れの良い材料で、縦、横共に切り屑や削りが楽にできます。

 

ナラ(楢) ミズナラ(水楢)

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樹名

ナラ・ミズナラ
分類  ブナ科コナラ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡銀褐色

鉋掛加工性  容易
辺材の色 

淡灰褐色

腐食耐久性  弱い
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  堅固
斑の模様 

鮮明

糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬質 乾燥加工性  やや困難

 

分布:ナラは日本全域の山地に生育していて、東北アジアまで広く分布している。東北アジアまで広く分布している。伐採すると大量の水を噴出するので別名でミズナラと呼ばれ、木材の取引では、単にナラと呼ぶ。

 

菌に侵されやすく健全な材は貴重品

 

シラカシとナラには、導管孔内にチロースと呼ばれる繊維構造がありウイスキーなどの醸造樽として使用しても、液漏れが起こりません。

 

ナラの最大の欠点は腐朽菌に侵され赤茶色に変色することです。立木状態で大きな木ほど変色菌に侵されやすく、白色に輝いて見える健全な良材は、非常に少なく貴重品です。変色材は赤くて沈んで見えます。ナラの健全な変色のない原木の小口の色はピンク色で茶褐色がほとんど見られません。

 

ミズナラの丸太は樹皮が薄く柔らかな感じのものが木味が良く、木目が良くて樹皮も薄く白太も非常に薄い良材は、小口がピンクに見えて製材すると輝いた美しい木目が現れます。銀杢(ぎんもく)といわれ珍重されるものもあります。ナラは年輪幅が1mm前後の方が材質がおとなしく木目もきれいです。

 

目の細かいものは糠目といわれ削り、加工などで木目が飛び嫌われます。木目が2mm以上の目はイシナラと呼ばれ、若くして大きくなった木ですので、狂いやすく一段下級に区分されています。

 

成長が遅く、ナラは植林による資源更新が難しい木材です。

 

人工乾燥により価値が高まる

 

ナラは人工乾燥の技術が導入された明治以降に、初めて用材としての存在が認められようとが広まった材です。それ以前は、取り扱いが面倒な厄介者として薪炭用材としか見なされていない不要材でした。広葉樹製材といえば北海道材が有名ですが、ナラはその中でも最大の重要材で、北海道では蓄積量が一番多い樹種です。輸出されたインチ材の中で、Coffin Boardと呼ばれた棺桶用材は欧米では最高級の棺桶とされていて、柾目の良材は素晴らしい木目をしています。

 

幅広い用途と、衰えない人気

 

用途の多い樹種ですが、主たる用途はよく知られたものにウイスキーの醸造樽があります。ナラの香りとタンニンが原酒に溶け込んでいき、まろやかな味に仕上げるので最適です。導管孔から入る空気もウイスキーの醸造には欠かせない要素で、チロースのおかげで樽から液体が漏れません。北米のホワイトオークもミズナラと同じ種類の木です。縫績機械のシャトルを飛ばすハンドルはイシナラに限ります。飛ばされるシャトルもナラ材が最適の反発力を持っているので、適材です。

 

ナラの化粧合板も常時ビル内装用として人気が絶えず旺盛な需要があります。家具の壁面やドアーに多用されます。応接間におくようなデスクにはナラ材の風格はぴったりです。家具用にも需要があり、工房家具作家にはこの材を好んで使用する人も少なくありません。また、学校の学童机には、しばらくの間ナラ材が指定材となっていて大変大きな需要がありました。資源が枯渇した現在は合成木材が学童机に使われています。

 

虫害を防ぐための処置が大切

 

ナラ材は割合に変色菌が付着しやすく、在中から滲み出す樹液がシミを作りますので、変色と見間違えるようなことがあります。製材後には樹液の蒸発を活発にさせて、材面の乾燥を早める為に表面に付着しているオガ屑などを素早く除去することが必要です。

 

ナラはラワンと同様に導管孔がヒラタキクイムシの卵管にぴったりの大きさなので、産卵されて幼虫に食われピンホールの被害を受ける危険性があります。 天然乾燥中に産卵されることが多いので、人工乾燥を施して熱により殺虫してから使用し、目止め材をしっかりと塗って導管孔を露出しないように加工する必要があります。

 

ブナ科のなら属にはクヌギやカシワがあります。クヌギは武蔵野森を形成する代表的な広葉樹です。直材の木は和船の櫨腕(ろうで)に使われました。柏餅に使う木はナラ属のカシワの葉です。柏餅の包み葉にされるカシワの柏葉は虫害を受けないように専門に栽培されていますが、カシワは用材としては使用された例があまりありません。北海道帯広方面で太い物が出ることがありますが、凍裂による目回りが多重に出るので、原木の姿が良くても製材が採れない物が多くあります。このカシワの目回りは千枚ガマと呼ばれ、丸太を板にひくと粉々になり板の形を止められません。