戸建住宅のライフサイクルと維持管理費用

 

戸建住宅のライフサイクルと維持管理費用

 

戸建て住宅は一般的に25年から30年で建て替えられているといわれていますが、戸建て住宅の耐用年数は作り方や維持管理により大きく変動します。平成18年6月8日交付、施行の住生活基本法によれば、平成27年までに現在平均30年で建て替えられている住宅の築後年数を40年にする目標が述べられています。ますます維持管理の重要性が高まっています。

 

住宅は自然から人間を守るシェルターとしての役割を持つと同時に、その中で人が生活をするための空間としての存在意義があります。住宅は建設された時点を頂点として、それ以後年月の経過と同時に価値が減少します。新品から中古へとなっていくわけです。新築時点から期間を経るに従って、住まい手は建物に維持管理が必要とされます。

 

  • 修理・修繕

本来住宅が持つ機能に対する不都合の発生です。

小規模の修理・修繕としては、雨漏り、水漏れ、漏電、床が抜けた、天井が落ちた等があります。これらの発生は、大小にかかわらず住生活が円滑に行われなくなるわけですから、直ちに対応をする必要があります。費用面については、小規模なものは小額な金額の項目が多いのですが、雨漏り等では原因によては高額な費用を要することがあります。

  • 住宅部品・設備機器類の機能低下による入れ替え

住宅内には数多くの部品や設備類が設置されています。これらは正常に機能していることが、最低必要な条件です。機能に障害が発生した場合が、修理・修繕の発生となるわけです。

部品や設備類については使用に供する事が可能である限り(壊れない限り)は、取り替え、入れ替え等の必要はないと思います。ただし設備機器類は生産するメーカーの新商品開発が頻繁に行われ、数年経過すると新しい機能が付加され、デザインも一新され、使用するには差し支えないが、現在の設備類が機能的に劣る状態になる、いわば機能的陳腐化の状態になります。機能的な陳腐化が著しくなると、住宅所有者は設備の入れ替えを行って快適な住生活を維持しようとします。設備機器類の入れ替えは内容、場所等の条件にもよりますが、費用面では比較的高額になります。部品類の交換等はその箇所にもよりますが費用面は安くすみます。

  • 住まい手のライフスタイルの変化による費用投下

住宅は新築時点においては、その時点における施主の家族構成、年齢、収入、住まい方等を考慮して間取り、設備、外観、外構等が決定されます。しかし築後年数がたつに従って家族構成や生活様式に変化が生じます。建築当初、親と同居していたが親が亡くなったり、同居を解消したりする事もあります。子供の成長、進学や、就職・結婚による別居、定年退職、子供世帯との同居など、住宅内のライフスタイルは変化するものです。変化するライフスタイルに対応して、住宅の改善が行われていきます。ライフスタイルの変化に対応する住宅の回収費用は、一般的に高額な工事となる事が多いようです。

  • 必要な維持管理

次に戸建て住宅を快適で長持ちさせるために必要な維持管理項目と、維持管理に要する費用について説明します。ここクリックは図表1は戸建て住宅の所有者が自己使用している場合に行うべき維持管理の項目と、時期について表したものです。所有者が自己使用する場合、「住宅内で快適な生活が出来る」、「長持ちさせる」という点に重点を置いて積極的に前述の維持管理のための費用投下を行います。

 

自己使用しないで、賃貸住宅として貸し出す場合は、自己使用の場合とは維持管理に対する考え方が全く異なります。

賃貸住宅として貸し出す目的は、賃料を得る事です。賃料収入をより多く確保するためには、対象住宅に対する支出を少なくすることです。支出項目の中には諸税と維持管理費がありますが、調整できるのは維持管理費です。賃貸住宅として賃貸人を募集るるさい、美観上良い方が賃貸人の募集も容易であり、かつ賃貸料もより高く設定できますので、募集の際の賃貸住宅のリフォーム費用投下はやむを得ません。

 

また賃貸住宅の場合は、住宅として生活に支障のない状態に維持しておく事が必要とされます。自己使用の場合にあった「快適」という点は賃貸住宅の場合、必ずしも重視されず、「通常の生活が出来る」という点が肝心です。そのために、修理・修繕という項目については、維持管理上必要な費用となります。他の部品・設備類の機能的な陳腐化、生活のライフスタイルの変化に対応する費用投下は賃貸住宅の場合は、後回しになります。図表1は所有者が自己使用する場合に維持管理を行う項目と時期の目安とを表にしたものです。

  • 畳表の裏返しまたは交換

和室の象徴的なものが、畳です。イ草を材料とする畳表は、使用する事により摩耗し、畳表としての機能は果たせても、畳表の表面が崩れたり、畳表の縁が破れたりすると、美観的に交換の時期が来たと判断すべきです。畳表のメンテナンスはまず、畳表を裏返して行うのが一般的です。畳表には裏表がないので、使用している面が傷んできたら、それまで使用していた、畳表を裏返しして使用します。その面も傷んできたら、畳表を新しいものと交換する必要があります。

 

自己所有の住宅の場合には、美観的維持の観点からおおよそ3年から5年ごとに新しい畳表を裏返し、裏返したものを新しい畳表に交換します。しかし賃貸住宅の場合、畳表の美観が悪くなったからと行って、3年から5年の間に貸し主が畳表の裏返しや、交換を行う事はすくないようです。賃料のバランスからそう頻繁に行う事が困難なのです。借り主が入れ替わる時などは、畳表を新しくしないと、新しい借り手が付きにくいので新しくしますが、その費用は敷金として預かった中からあてたり、新しく入居するひとからの敷金相当額から費用が捻出されます。しかし賃借人が変わらないで継続する場合は、あまり畳表を新しくする事はないようです。畳表を裏返しする費用は1畳あたり中級品で5000円前後であり、2度目の交換で畳表を新しくする場合は、中級品で1畳あたり10000円前後、畳全体が古くなったりして交換する場合(新床という)には中級品で1畳あたり20000円くらいかかります。尚畳全体を新しくする場合、六畳一間で、古い畳の撤去費、処分費、その運搬諸経費を含め、20万円弱の費用を要します。なお畳を他の材料に変えた、メンテナンスの期間を延長して、メンテナンス費用を軽減する事も考えられます。

  • 内装リフォーム

住宅を長年使用していると、内部が汚れてきます。自己使用している場合には、美観維持の観点から5年前後経過すると内装換えのメンテナンス工事を行い始めます。畳の場合と同じように、賃貸住宅の場合、賃借人が入れ替わる場合等は、募集をスムーズに行うために、内装をきれいにするためのリフォーム工事を行います。

・床のカーペットを新しくする  15万円 
・床のカーペットを無垢フローリングにする  30万円 
・床のカーペットを天然木化粧合板にする  25万円 
・床のカーペットをコルクタイルにする 

25万円 

・畳からフローリングへ替える  35万円 
・畳からカーペットへ替える  25万円 
・畳からCFシートに替える  20万円 
・壁のビニールクロスを新しくする   8万円 
・壁のビニールクロスを塗装に替える  10万円 
・壁のビニールクロスを珪藻土に替える  20万円 
・壁のビニールクロスを腰壁天然木化粧合板に替える  30万円 
・和室の壁を左官仕上げにする  25万円 
・天井のビニールクロスを新しくする   5万円 
・天井のビニールクロスを塗装に替える    8万円
・天井のビニールクロスを天然木化粧合板に替える  15万円 

(全て10uあたりの単価)

  • 外装リフォーム

外壁から雨漏りがするといった場合には、雨漏りを止める工事をする必要があります。雨漏りの原因によって軽度の工事で住む事もありますが、原因が複雑な場合には費用がより多くかかります。状況判断をリフォーム会社にしてもらうと同時に、工事に要する見積もり依頼をする必要があります。このケースの場合範囲があまりにも広すぎて、いくらというような費用の特定は出来ません。

 

経年変化によって、外壁が汚くなって、見栄えが悪くなったといった場合、外壁のリフォームを行います。外壁のリフォーム工事に要する工事金は、決して安くありません。賃貸に供している住宅の場合は、簡単に外壁のリフォームを実施する賃貸人はいないというのが現状です。

・外壁の仕上げを吹付け塗装から新しい塗装仕上げにする 

130万前後 

・外壁の仕上げを吹付け塗装から左官仕上げにする 

150万前後 
・外壁の仕上げを吹付け塗装からサイディングにする 300万前後 
・外壁の仕上げを吹付けから乾式タイルに変更  400万前後 

(工事面積210u)

  • 湯沸かし器交換

湯沸かし器の耐用年数は7年から8年と考え、それ以後は取り替えを考える必要があります。湯沸かし器の給湯能力は浴槽内、シャワー、洗濯機、キッチン、洗面所など5カ所給湯の場合24合程度の給湯能力を必要とします。給湯器本体の金額、工事費等を考慮すると費用は35万から40万円かかります。

  • 水廻り設備の交換

水廻り設備類のリフォームには、キッチン、バス、洗面所、トイレ等が考えられます。いずれの設備類も水漏れといった緊急を要する工事以外には、急を要する工事ではありません。水廻り設備類のメーカーは数が多く、競争も激しいので、各社は競って商品開発を行い、毎年のように新商品が発表されています。従って何年か経過すると、新築当時の設備内容と最新のものとでは大きく機能的に違いが生じます。いわゆる流行遅れの状態になるわけです。自己使用の住宅であれば、流行遅れの設備類より、流行の先端を行く設備にした方が満足度は格段に違います。

 

しかし賃貸に供している住宅の場合、流行遅れだからといって、簡単に設備類の交換を行う事は、賃貸収入とのバランスからなかなか行えません。20年以上過ぎた住宅で、賃借人が変わるといった場合には、設備類も入れ替えなければ新しい賃借人を見つける事が難しくなります。その場合には水廻りの設備類の交換をする必要があります。トイレが和式の場合は、賃借人がなかなか付かないので、トイレは洋式に変更する必要があります。費用は20〜30万円が必要となります。自己使用ならば、一定のランク以上の商品を入れますが、賃貸に供する住宅の場合には、水廻り設備類は丈夫であれば、最低基準を満たすものでも良いという判断になりやすいものです。

 

キッチンのリフォーム工事、バスルームのリフォーム工事ならば内容によって違いがありますが、それぞれ100万から150万円、洗面所、トイレのリフォームであればそれぞれ50万円前後の予算が必要です。

  • 屋根のリフォーム

屋根からの雨漏りなどの場合には、緊急に原因となる箇所の工事を行う必要があります。原因よっては大がかりな工事を要する場合があります。しかし屋根全体の葺き替えを行うといった大工事には至らないで住む場合が多いでしょう。10万円から20万円の費用は必要になります。

 

家が古くなって、屋根材の葺き替えや、屋根下地からやり直しを行う場合には、100万円から200万円ほどの費用を要する事になります。賃貸に供している住宅の場合でも、屋根が原因となる雨漏りの発生は住宅の寿命に大きく影響を与えますから、速やかに対処しなければなりません。住宅の築後年数も30年近くなりますと、屋根だけでなく柱や、梁、土台といった構造に関しても腐食といった現象が見られる場合があります。その場合には立て替え等を考慮しなくてはならない場合もあり、専門家に総合的に診断をしてもらう必要があります。