イチョウ

樹名 イチョウ     
分類  イチョウ課 鋸挽加工性  容易 
芯材の色  帯黄白色(偽芯あり)  鉋掛加工性  容易 
辺材の色  帯黄白色  腐食耐久性  朽ち易い 
芯・辺境界  識別不可  摩耗耐久性  比較的強い 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬め  乾燥加工性  やや困難 

 

分布:イチョウは特別な地域に分布しているわけではなく、全国的に広い範囲で見られる。

中国から輸入されたものと考えられている。神社仏閣などで大事に育てられた。

 

一般に針葉樹の木目ははっきりとしているが、イチョウの木目は広葉樹の散孔材と同じで年輪がぼやけています。白太と赤味の区分は不明瞭ですが、太い木に成長すると偽芯ができます。樹内に栄養を貯蔵するシステムが発達しているので大木になり、幅広い板が取れやすく、木目がぼやけていて柔らかな刃当たり感があるので、俎板や洋服の裁板などに多用されます。碁盤、将棋盤にも材質がカヤ材に似ているので普及品として使われます。イチョウは街路樹に多く使われ、秋には黄葉し人々の目を楽しませてくれます。

  

  イチョウは雌雄異株で銀杏は雌株だけになり食用として珍重されています。雄花は淡黄色の尾状胚珠です。雌花は緑色で4月頃に咲き、長い柄の咲に裸の胚珠を二個つけます。この花の付け方で銀杏のなる黄を見分ける目安としています。

   

 イチョウの大木は随所にあり、仙台市には銀杏町という地名があります。そこ銀杏町のニガタケ地区には国の天然記念物に指定された、樹齢1000年、樹高30mの日本最大のイチョウがあり地名の由来となっています。イチョウの老木には気根(キコン=乳房)と呼ばれる下がりこぶが出来ますが、雌株には出来ません、雄株だけに出来る入細胞で栄養分の貯蔵場所です。

   

  元来、銀杏の種子は葉が変形した心皮が種子に成長するので葉の下側につきますが、この木は葉の上に種子があります。これは進化した木が原始型に逆戻りした現象と考えれれています。イチョウの受精の方法は他の植物に見られない雌花から精虫を出して受精する特殊な方法です。蘇鉄も同じ生殖方法をとりますが、この生殖形態は原始生物にはよく見られるものでイチョウは生きた化石と言われ、用材よりも鑑賞樹としての価値が高い木です。(木材大辞典より)

イチイ(一位、おんこの木)

いちい板目.jpgいちい柾目.jpg 

樹名

イチイ     
分類  イチイ科イチイ 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色  美麗紅褐色 鉋掛加工性  容易 
辺材の色  帯黄白色 腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  歴然  摩耗耐久性  やや強い 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬め中庸 乾燥加工性  容易 

   

分布:イチイは北海道か九州まで分布しているが南限は南九州の高隈山で大木の育成が見られ、木は秋には赤い階樹皮が種子を覆う。この皮は大変に甘くオンコの実と呼ばれ、樹名もオンコと呼ぶ地方もある。北海道では優良木が採れ深山に生育したイチイの大木になり、大きいものは高さ20メートルにもなり、1メートルを超す直径の大木もまれではない。

    

最高位を意味する「第一位の」の樹

    

イチイの名前は「一位」という最高位の意味です。昔、神官が君命を拝受する際にシャクを自分の眼前に掲げそこに君命を間違えないように書き記しました。当時、君命は第1位に重要なので、その君命を記すシャクにはイチイの木だけが使われたためこの木がイチイと呼ばれました。また、そのシャクの長さが一尺だったのでその板がシャクと呼ばれました。シャクに使われるイチイの木は岐阜県の大野郡の位山が有名産地で、岐阜県の県木にもなっています。南に下るにつれてイチイの生育量は少なくなり、関西地方では「アララギ」と呼び高貴な気とされています。一位は白檀に似た香りのする木です。

   

イチイは根元で一部が異常生育をするので入れ皮が出来やすく、元小口がカボチャ状になるものが多く見られます。このため大径木の丸太からでも、幅広の長尺をとるのは困難な木とされています。その他の欠点としては、黒いかな筋がこの木にはよく出ます。かな筋のない木目の良い材はきわめて希少です。

    

主な用途にシャクなどの神事の諸道具、神社建築の外装材や破風板にも使われます。この木の材質は非常におとなしく歯切れが良く欠落が少ないことで、割れや反りの恐れも少なく曲げ加工に適しています。鉛筆の軸用材としてペンシルシダーより歯切れが良くイチイの鉛筆は上等物とされています。戦前にはほとんどの国産鉛筆にイチイが使用されました。蓄積量が少なく、イチイだけでは日本の鉛筆生産を量的に充足できないので、ペンシルシダーを北米やアフリカから輸入しています。

   

この木は座机、見台、硯箱、短冊掛、仏壇などの和家具によく使われます。建築材では床の間廻りの床柱、床框、落掛に使われます。飛騨高山の一位一刀彫は有名です。

 

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カヤ (榧)

かや柾目.jpg 

樹名

カヤ    
分類  イチイ科カヤ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色  黄白色 鉋掛加工性  容易 
辺材の色  白色 腐食耐久性  強靱 
芯・辺境界  なだらか  摩耗耐久性  強靱 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬質 乾燥加工性  困難 

   

蚊を追いやる「蚊遣りの木」

   

カヤの名前の由来は、この木を燃やすと煙に薬用成分があり蚊を追いやる効果があることから蚊遣りの木と言われ、これが詰まってカヤになりました。カヤの木片をおいたところの周辺には、蚊が来ません。非常に強い香りがします。

   

カヤの実からはカヤの実油が採れます。この油で揚げた天ぷらはさっぱりとして非常においしく、カヤは材面が柔らかなので糊の剥がれがよく、和服の洗張の張板に使われていました。昔は張板は嫁入り道具に欠かせないものでしたので、カヤ材が枯渇した戦後には、代用品としてラワン材が使われましたが、これは糊の剥がれが悪く不評で実用にならないものでした。

    

宮崎県の日向地方はカヤの良材の産地として知られています。 カヤの主な用途は車両材、和船の船底材、船縁、筒やいすの材料、水桶用材、漆器生地、算盤玉や数珠、櫛、洋傘の柄、鍬の台、将棋盤や碁盤、戸板です。この板は狂わず軽く丈夫なので、現在でも使用に耐えています。雨戸の戸板にも使われますが、巾をつなぎ合わせたものが一般に見かけられます。丈夫なカヤの戸板は担架の代用にもされました。刃物の切れ具合も良く、釘を打っても材が割れず、仏像の彫刻には最適の木材です。熊本地方のカヤの削りものは名産品の一つに数えられています。カヤ材は水にも強いので風呂桶にも使われます。カヤや翌桧(あすなろ)のように臭気の強い材は内装には不向きのようです。

 

アガチス (南洋桂)

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樹名

アガチス    
分類  ナンヨウスギ科 鋸挽加工性 

切削容易 

芯材の色 

淡灰褐色

鉋掛加工性  刃切れ良好 
辺材の色  淡灰色 腐食耐久性  やや不良
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  やや良好
斑の模様  繊細な模様明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  針葉樹の中庸程度 乾燥加工性  容易 

   

  

分布:アガチスの名は、マレーシア、ベトナム方面にある呼び名でベトナム、カンボジアの高地に多く分布し、ボルネオの中央山脈の周囲にも生息が認められているのだが、東南アジア各地で広く植林されているので正確には分布地域を指定できない。

最初は建材として、後に玄関ドアとして普及

 

アガチスは「南洋桂」の名で売り出され有名になった木です。ナンヨウスギ科の針葉樹で、広葉樹ではなく松に近い樹形をした樹木です。クリンキーパインと同じ木ですが、少し材色が濃いのが特徴です。

 

アテが強い木なので使用するには柾目の製材が絶対条件です。直径1mを超す大木があり、節も少ない木です。日本での用途は、当初は建具材にされ、家具用としては桂の代用でタンスの側板に使われました。その後、彫刻を施した玄関ドアに使われ、重厚な感触と色調がよいので普及しました。碁盤の普及品として2寸、3寸厚の脚付きのものが大量に生産されました。

 

建築関係でも、長押、敷居などに使われた例もありますが、テカリが出て日本風ではなく使用例が少なくなりました。

  

白太と赤味の境にアテの出やすい木なので、乾燥後に反りを修正してから使用すべきです。なおアテの部分を挽き割ると大きく割れることがあります。

 

クリンキーパインはニューギニア方面の呼び名です。アガチスよりもアテが少なくおとなしい性質の木で淡い材色をしています。パプアニューギニアでは合板用材として重要視され、ボートなどに使われて造船材としての知名度の高い材料です。一般用とはアガチス材と同じで、製品での輸入が多くなっています。

  

ニューギニアの中央山脈のボロロ盆地ではオーストラリア人がクリンキーパインの植林を行い、計画的な木材生産をしています。原生林も残されていて自然の循環サイクルにあわせた伐採をしていますので、資源を確保して森林生長量に見合った伐採による収入で保護しています。

 

コウヤマキ (高野槙)

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樹名

コウヤマキ    
分類  スギ科コウヤマキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡黄褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色  乳白色 腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  弱い 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

   

分布:福島県摩耶群一体、木曽谷周辺、愛知県の段戸山、等の各地にコウヤマキは分かれて生育し、高野山に多く見られるのでコウヤマキの名が付いたと言われている。生育場所は標高が700m近辺の尾根筋。 

   

木曽五木と呼ばれる良質の木

世界の三大庭園樹は、ヒマラヤシダーと南洋杉、およびコウヤマキと言われています。コウヤマキは成長がきわめて遅く、植林には不適とされています。

反面、成長が遅く長年にわたり樹高が一定しているので防火樹としては最適で、高野山では僧坊の間に多く植えられています。

この木は一科一属一種と植物学上でも珍しい日本の特産種です。樹形は高さが35m、直径1m位まで成長します。

日本の木の中でも特によい品質の木という意味で、木曽五木と呼ばれる樹木があります。木曽五木とは木曽桧、サワラ、アスナロ、ネズコとコウヤマキの五樹種のことです。コウヤマキの樹皮は繊維質が強いのでマキハダという防水パッキングとしての用途があり、井戸の壁や舟板の隙間の充填部として使われ水漏れ防止の止水材として有名です。蓄積量が少なく、コウヤマキ材として市場に出される例はあまり見ません。材質は肌目が緻密で柔らかく光沢はありませんが、この木は湿潤に強いのが特徴です。

主たる用途は風呂桶が有名で、手桶、流し板、漬け物桶、みそオケ、おひつ、飯台です。和船の用材にも多く使われました。桧に比べて、香りが少ないのが食料品を入れる器類に使われる最大の理由です。

  

建具材としては多少使用例があります。板材は外壁用として変色や腐食が少ないので、使って具合の良い木材です。この板を大量に使用することは、蓄財量が少なく高価なので困難です。

ヤクスギ (屋久杉)

屋久木.jpg屋久天井.jpg屋久杢.bmp 

樹名

ヤクスギ    
分類  スギ科スギ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

赤褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色  白色 腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  弱い 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

樹齢1000年を超える最高ブランド

 

 

  ヤクスギは、秋目が大変に鮮明で、上杢の笹目模様が出て格別の美しさがあります。薩摩杉として有名で、ことにヤクスギの木目は複雑な形状が出るので最高のブランドとされます。屋久島では自生する樹齢1000年以降の杉だけをヤクスギと呼びます。1000年未満の杉は小杉と呼ばれ、植林の杉は地杉と呼ばれます。かつてヤクスギは岳杉(たけすぎ)と呼ばれていましたが、明治以後、国有林経営になってからはヤクスギと呼ばれて一般にその名が定着しました。ヤクスギの中の最高齢の縄文杉は推定樹齢7200年とされていますが、新しい別の木が元の木の上に覆い被さった合成木であるとも推定され、4000年の樹齢とも言われています。世界遺産の一つで、樹高30m、根回り28mの大きさを有し、幹だけで約1000m3,1000トンの巨大な生物です。天井板としても優美ですが床の間の地板としても有名な杢模様で、揉めた木目でも狂わなく高値を呼ぶ逸品です。

  現在、自然保護のためにヤクスギの伐採は禁じられ、平木に利用された材の残りの切り株や天災にあった倒木だけが利用可能なヤクスギ材です。これらの木は「土埋木(どまいぼく)」と呼ばれて、工芸品に利用されます。

  奇しくも、杉の北限の秋田杉と、南限のヤクスギが杉の両横綱と言えます。その他の銘柄の木目はこの両者の中間に位置し、木目や性質がどちらかに似ているかによって個別の名前が付けられています。全国各地に地名のついた天然杉があり、それらの杉は固有の美麗さを持っています。

 

スギ (杉)

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樹名

スギ    
分類  スギ科スギ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

赤褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色  白色 腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  弱い 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

 

分布:自生スギの分布は、本州より以南だが、植林により北海道の札幌近郊でも見ることが出来る。南限は屋久島。太平洋岸に生息するスギは表杉と呼ばれ種子からしか新芽が出てこない。中央の山脈を分岐点として、日本海側に生息する杉は裏杉と呼ばれて枝が垂れ下がり、地面に枝が触れたところから着地して根を下に下ろし、そこから新芽を出し独立樹に成長する。表杉と裏杉とでは性質が大きく違い、その用途も変わる。

 

性質が違う「表杉」と「裏杉」

   

杉は同じ杉でも日本海側に生息する杉と太平洋側の杉では性質が大きく違い、その用途も変わります。中央山脈を分岐点として、日本海側に生息する杉は裏杉と呼ばれ、太平洋側の表杉とは性質が大きく異なります。

 

杉は日本だけに自生する樹種であって西欧にあるシダーとは違う樹種です。さらに杉材は天然物と植林物に分けて説明する必要があります。また、植林の木は一般用材と北山杉のような飼育物とに分けて考えなければよく理解できません。一般用材でも吉野や天竜などの杉の産地は造林の体制が整っている地域です。

   

一方、質も悪く手入れが不十分で低質材しか産出しない地域では、材価が低下し木材売却金額では山林の管理費を賄えない地区にも、戦後の杉植林ブームで杉林が残っています。しかし、これらの杉材は価格体系も用途も全く違い、取引上では別の樹種と考えられるほどです。材質の良否の判断の一つの目安は官木と民木という区別です。

    

官木と民木

    

国有林から払い下げられる木材が官木(かんぼく)です。官木は政府が管理していた樹木を伐採した丸太という意味で、英語ではTimber from official forest といえるでしょう。民木は、民間で保有していた林から伐採した丸太で、 Timber from private forest ということになります。官木の名の由来は木曽桧がその発想の元になっているので、詳しい説明は桧の項でいたします。

    

純天然木と植林材

   

日本の杉の原生林は、ほとんどが国有林となっており徳川時代以前から莫大な経費を費やして、大切に人工管理されてきた、いわば純天然、純人工林とも言える森林がたくさんあります。原生林は屋久杉などですが、これとても国の手厚い育成保護を受けている森林です。屋久島には世界最古と言われる縄文杉があります。屋久杉を使った建築物の実例はあまり見ることが出来ませんが、過去において伐採されて利用された実績としては、ウィルソン株の記録があります。大正3年、ウィルソン氏により世に紹介されたウィルソン株は根回り32.5m、推定樹齢3000年という屋久杉の切り株です。

 

このような純天然林の木材は最高の品質ですが、ほとんど入手が出来ません。又、官木の良材も非常に数量が少なく銘木として貴重品扱いをされています。

 

天然木に次ぐ良質の杉材は古い人工林の木です。日光の杉並木などの社木は一種の人工林です。この人工社木並木には、日光の37kmにおよぶ15000本の参道杉並木の他、山形県羽黒山参道杉並木が有名です。これらは植林されてから長い年月を経ているので天然木に近い性質になっています。有名な杉並木は国家や神社の厳しい管理下におかれています。これらの中には、天災にあい傷が付いて仕方なく伐採される木もありますが、平常では滅多に伐採されることなく、木材としての出材料はきわめて少なく貴重品です。杉製材の範疇を超えて超銘木の部類に入るものとして取引されています。

 

  人工栽培林=植林管理材

 

建築用材として材質が安定し評判の良い杉製材を生産している有名産地に尾鷲や天竜地区があります。戦後の復興需要によって、この地区では伐採が急速に行われて、木材の蓄積量が枯渇し出しましたが、その後は植林に力を入れて、地区の製材生産料に見合うだけの原木生育が行われています。この地区では製材用原木を材質の悪い地区から移入せずに、自治区の植林材だけを使うので木材市場で良い評判を得ています。ことに吉野地区では徹底した育成管理をしています。

 

吉野の生育方法は比較的生育の早い樹属を選定して植林しています。しかし、生育の早い木は下枝の発生も多く、その下枝払いに手間を充分かけて良質の幹の生育をしています。この方法によって、短日時で無縁の役物が多く採れる良質原木の計画生産を可能にしています。吉野材は役物多いいので有名ですが、この地区では全体として、植林材を天然材にも匹敵するような水準の、非常に高い木材価格維持しています。植林と言うより人工栽培と言うべきです。

 

茨城県の八溝山麓でも、植林材の丁寧な管理育成をして生産する木材の品質向上に努めていて、吉野材に追いつこうと懸命に努力をしています。その他地区でもこのような運動は見られます。しかし例えば戦時中、飛行機のガソリン用に松林が乱伐された跡地に、成長の早い杉やカラマツ材を植林した場所では、下枝払い、下草刈りや間伐の手間をかけないままで放置され節の多い材質の著しく悪い木だけが生育している山林状況になり、用途がないままに伐採もされず放置されています。

 

木は生長した場所で使うのが一番良いとされています。杉を県木として指定しているとことは秋田県の秋田杉、富山県の立山杉、京都府の北山杉、三重県の神宮杉、奈良県の吉野杉、高知県の魚梁瀬杉があります。有名産地元では「自宅の建築には自分の山の木を使う」という習慣が人々に根強く残っていて、丹念に下枝払いをしたりして杉を育てています。これは理にかなった生活習慣で、地元の木が最上とする考えの表れです。

 

単に杉と言っても安い材価の輸入外材に押され、材価のあがらない森林の管理には経費がかけられなくなり、材質はさらに悪化し続けています。このように天然木やよく管理された植林材と、全く管理されていない植林材とでは、価格の上で大きな開きが出ているばかりでなく用途も全く異なるという格差があり ます。杉材の価値の決定にはこのような産地の事情が大きく影響します。

 

  秋田杉

 

秋田県北部を流れる米代川。 その地域一帯に広がる秋田杉の純林は林野庁が特別管理している国有林です。このように秋田杉はほとんどの優良林区が国有林で、高い品質の木が生育されています。秋田杉の官木と民木の品質の差は大きな開きがあります。

 

杉は各地で古くから植林され管理されて大切に育てられてきました。しかし、いかに大切に育てた木でも、本来の天然木に勝る木はありません。木材の価格についても、当然、純天然木と植林材とに分けて評価されて、官木というマークの付いた丸太は多少外形が悪くとも品質がよいので、高い評価価格がつけれれ、実際に鑑賞価値もあります。

 

和室の大広間などの独立柱は四面使用なので、背割れのある1本取りの心持ち材は使えません、秋田杉の四方柾を使うのが最良とされています。長押には秋田の目の通った柾目が最上品とされます。天井廻りも、廻り縁、竿縁は秋田の木端柾(こばまさ)物が好まれ敷居、鴨居も秋田のものは落ち着きがあります。いったん枝が着地した場所から芽を出して樹になる裏杉は、優しい木目が取り柄です。秋田杉はその代表格の樹木で世界に類がありません。

 

秋田杉は杉材の基本と言うべき木で、色、木目、材質ともにもっとも安定した性質を備えている木材です。全ての杉材は秋田杉との比較で評価されます。秋田杉は裏杉の代表ですが、丹沢杉、雨着杉、吉野杉、役杉も裏杉の仲間です。

 

秋田杉で作られる「曲げ輪っぱ」は優秀な食器です。適度に水分を吸収し、乾燥してくると放出して、米飯弁当をよりよい状態にしておく性能があります。秋田杉の柾目は曲げ加工をするときにも割れることなく、しなやかに曲げ加工の出来る貴重な優秀材料の一つです。

   

東北太平洋側の杉と山武杉

 

岩手県から千葉県にかけての東日本太平洋側には杉がよく生長しています。同じ位置の日本海側一体は裏杉の名産地ですが、太平洋側の表杉は白太が深く赤味も黒ずんで木目も美しい木とは言えません。反面外部使用には耐久性があり、色々な用途があり江戸時代の家屋の外装の面影を宿してます。気候の温暖な千葉県には同じ系統の山武杉があり、人々の植林保護熱も高く良い山林が多く残っています。

 

植林杉の有名ブランド

 

都市部の過密化が進み、防火基準が強化されたこともあって、純木造住宅の比率は減少しています。建築費全体に示す木材の金額は、合板のような木材工業製品を除いた製材品の使用率は低くなっています。その中でも国産材の良さを生かそうとして植林をして木材生産を復興させている地区に尾鷲地区、天竜地区、秩父地区、八溝地区などがあります。製材品のブランドとして尾鷲材、天竜材は市場では良材の代名詞として有名です。

 

杉、桧の建築用材を植林しても、植林者は一生に一度しか木材の収穫が出来るかどうかであって、次世代の子孫のために植林していると言って良いでしょう。植林をするといっても、自然の成り行きだけでは利用できる良木にはならず、あらゆる合理化を図って植林し生長させた木材を収穫しても、植林に従事した人達の一生に値する収入は得られません。

 

こうした諸事情から、林野庁の慢性的な赤字会計を見てもわかるように、民間の植林事業は活発に行われないのが現状です。

 

ヒノキ (桧、檜)

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樹名

ヒノキ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄白淡褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  強靱 
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸硬め 乾燥加工性  容易 

   

分布 :天然ヒノキの分布は福島県東南部以南の本州と四国及び九州に生育が認められる。南限は屋久島だが、九州には蓄積量があまりない。ヒノキは中腹から尾根筋にかけての山の斜面によく育つ。長野県の木曽から岐阜県の裏木曽一体の木曽谷及びその周辺の飛騨地方と和歌山県高野山、高地県西部によい材質のヒノキがある地域として知られていす。関東地方では茨城と宮城の県境にある八溝山周辺に良質のヒノキ材がある。

 

 「良い木材」の代名詞

   

木曽の御嶽山周辺は、ヒノキを始めとした木曽五木を育てた母なる山です。日本の林野庁は御嶽山周辺に広がる木曽谷にある美林を筆頭とした日本三大美林を始めとして、多くの優良森林の保護をしています。国が管理している山林を国有林と呼び、そこから出材する木材を官木(かんぼく)または管材(かんざい)と呼びます。これに対して、一般の人の持っている山林(民有林)からの出材木は民木(みんぼく)といいます。


「天然檜」

ヒノキの植林は各地で盛んに行われていますが、天然ヒノキの群生地は木曽谷以外にはほとんどありません。大半のヒノキは植林材です。天然林の中でヒノキの占める比率は不明ですが杉の方が圧倒的に多く蓄積されています。

    

ヒノキも生育した土地で使われるのが使用法としては最善なので、各地の神社や仏閣では社木としてヒノキを植林、管理し、改築用として大切に保存しています。これらの木は純天然木と言える材質の木です。

   

天皇家の御料林と伊勢神宮の関係が社木の最大規模の管理組織です。これが木曽谷にヒノキが純林として残っている主因です。世界的に見てもヒノキの純林は、木曽谷と台湾の高尾麓、北米オレゴン州南部にあるポートオーフォード周辺にしかありません。しかし植物学的には米ヒノキはヒバ属です。

   

古い神社やお寺に使われている柱などを調査したデータによれば檜材は伐採されてから200年くらいまでは、圧縮・曲げなどの諸強度はやや上昇し、その後は緩やかに減衰しはじめます。衝撃曲げ吸収エネルギーは伐採後300年までの間は30%程低下するももの、それ以降においてはほとんど変わらないという学術報告があります。

   

同じく寺社に多く使われているケヤキ材は伐採後300年当たりから急激にセルロースの崩壊と結晶化が始まりもろくなるので、ヒノキよりも耐久性が乏しいといわれています。ヒノキはあらゆる面から見て最高の構造材と言えます。

   

天然ヒノキは仏像彫刻に多く使われ国宝になっています。春慶塗りの木地、櫛、小槌、道具の柄、梯子、額縁の小物の用途があります。ヒノキの枡は有名で一升瓶は江戸時代の計量器具の中でも一番多く使われていた道具です。江戸時代に歌舞伎が流行し演劇舞台の基本が出来ました。歌舞伎と能楽に使われる舞台は檜舞台と言って、本物の檜舞台は、特に木曽で産出する尾州檜の柾目の長材だけで作られます。国立劇場、歌舞伎座、能楽の舞台は尾州檜で作られています。檜舞台の床は住宅用の縁甲板のように薄くなく、三センチ程度の厚い本実加工板が使われます。

   

有名な京都の清水寺の舞台は、巨大なケヤキの柱を立て、貫を縦横に通してで組固めた土台の上に約190m2の檜板を張って作られています。


 

人工林のヒノキ材

   

日本人の天然ヒノキに対する愛着は深い物がありますが、どんなに厳しい森林管理をしても資源は枯渇する一方です。

   

木曽地区では、林野庁が伐採後の山に間髪を入れず植林をしているので、面積比率から見るときその山は天然林とは言えず、むしろ植林地区になってきています。ヒノキは杉に比べて造林された若木でも需要があるので、ヒノキの植林が杉よりも多く行われています。その他の産地でも植林に力を入れていて、和歌山県の尾鷲地区、奈良県の吉野地区、静岡県の天竜地区が建築材の有名ブランド産地として知られています。

   

植林されたヒノキでも下打ちなどの管理を丹念にしながら育て、100年以上の長年月を経ると、表皮に近い部分から急速に年輪巾がつまり天然木のような木理を呈してきます。


 

官木・管材の概念

   

日本では、杉は庶民の木、ヒノキは王侯貴族の木という概念が古くからありました。宮殿や社寺はヒノキで作られ代表的なヒノキ建築は伊勢神宮です。

   

伊勢神宮はあわせて125の建物から成り立ち、神座を移す「式年遷宮」という大行事があり平成五年に第六一回目の式年遷宮が行われました。内宮、外宮の両殿舎と別宮の全てを二十年毎に立て替える祭典で、木材は全て木曽ヒノキが使われます。

   

式年遷宮に際しご神体を収納する木の器を作り替えます。これに使う木を御樋代木(みしろぎ)といいます。伐採現場ではみそまはじめ祭を執り行ってから、この木を伐採して人力で搬出されます。

   

徳川幕府は、ヒノキを非常に重要な木材であると認識して「ヒノキ一首一つ」というほどに大切に管理してきました。この思想が引き継がれて、国有林の制度が生まれました。「木場ことば集」には国有林の成り立ちの過程と、官木について次のように説明しています。

   

「木曽全山は幕府御三家の中の尾張藩が所有し、その出材は全て尾張藩の藩営事業で、木曽で取った丸太は木曽川を筏でおろして桑名を経、名古屋の熱田からそれぞれの方面に供給していた。

   

明治時代になり木曽一体は国有林管理になったが出材経路は旧幕府時代のままで明治の末期になって中央線が全通して、初めて筏流しは取りやめになった。それまでは江戸の昔からずっと木曽ヒノキは名古屋の材木商の手を通じて、江戸や東京に供給されていたので木曽ヒノキには尾州ヒノキの呼名が使われていた。今では、木曽ヒノキというのが正しい呼名であるが、昔を偲んで尾州ヒノキの名が使われている」とかかれています。

   

明治時代になり、木曽と同様に秋田杉、青森を始めとする全国の優良林区が国有林となりました。官木とは、こうした事情から日本各地にある保護を必要とする優良林区から出る原木のことです。反面、民木は採算を考えて木の管理の手間を省いたりするので、十分な管理がされない状況下での造林方法なので、品質に安定性が欠けています。又、産地の気象条件等も異なるので、品質も官木に比べて良い材は少ないようです。

   

南極大陸に設置された昭和基地の建物は、特別に払い下げられた木曽ヒノキを集成加工して作られました。軽量で厳寒時の凍裂等にも耐え、温度変化による狂いが生じない優秀な建物です。神事用の諸道具はヒノキ作りですが、尾州ヒノキが本物で、最近は白木として米檜やスプルースも代用品に使われています。

 

ベイヒ (米桧)

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樹名

ベイヒ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄白薄褐色

鉋掛加工性  やや困難 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  明瞭  摩耗耐久性  強い
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

   

分布:北米のオレゴン州のポートフォードを中心にしてクースベイから太平洋岸沿いにカリフォルニア南部までの沿岸より64km以内にのみ生育している。

  

桧に似た、良質の材

  

材質が日本の木曽桧と間違えるほどよく似ているので、カウンターなどに多く使われます。葬式の大看板にベイヒは墨の吸い込みが少ないので多用されています。北米では蓄電池の隔離板やスタジアムのシート、ヨットボードに使われています。日本で建具材として使われて好評です。変色菌が比較的に早く付着して青色に変色しやすい欠点がある他は日本の桧と変わりません。

 

モミ (樅)

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樹名

モミ    
分類  マツ科モミ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

白色 

鉋掛加工性  良好 
辺材の色 

白色

腐食耐久性  強い 
芯・辺境界  不明瞭  摩耗耐久性  強い
斑の模様  不明瞭  糊付接着性  良好 
硬さ状況  やや硬 乾燥加工性  やや困難 

  

錐で穴あけして釘打ちするほど硬い木

樹高40m直径1.5mに達し材色は純白に近く、白太は判別できません。乾燥するとモミは材質が非常に硬くなって釘を打つことも困難になるので、錐で穴をあけて釘を打ちます。錐で穴をあける作業は揉むというのでモミという名前が付きました。

   

東北地方では土葬の習慣があったので棺によく使われ、削ったモミの材面には筆で墨文字がよく書けるので卒塔婆の材料として最適です。乾燥すると非常に硬い材質になるのでネズミにかじられる害が少ないので土蔵の内装材として使用されています。

 

タイヒ (台桧)

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樹名

タイヒ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄帯紅白淡褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  強力 
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  強靱
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸硬め 乾燥加工性  容易 

分布:台湾の新高山、阿理山の1500m〜2500mの高地に群生。日本の調査団が120年前に発見し輸入されるようになった。

  

赤味のある独特な光沢

  

材質は木曽桧と比べてやや硬めで、直径が2mを超すのも珍しくなく幅広い板が採れるのが特徴です。板目に大きな模様が出るので床の間の地板、建築の柱材、床板、門柱、門扉などに使われました。

  

材色は赤味があり独特な光沢を持っていて、高級な感触があり銘木扱いをされます。球果が日本のヒノキと比べて少し小さいだけで植物学的には同種とされています。 

ヒバ (翌桧) アスナロ

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樹名

ヒバ・アスナロ    
分類  ヒノキ科アスナロ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄白色 

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  強靱
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  強い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  やや困難 
      

「明日には檜になりたい」アスナロの木」

 

青森ヒバはアスナロ属の木ですが、その性格がアスナロ(翌桧)と違い秋田杉と同様に、枝が設置したところに根を下ろして新たな木がそこから成長をします。アスナロは種子からしか発芽しません。青森ヒバはアテが強く、「アテ」とも呼ばれ、青森ではヒノキとも呼んでいたす。一般の木材に対しては農林規格にアテの欠点規定はありませんが、青森ヒバについては特別にアテの規定があります。

  

青森ヒバは木曽桧の三倍、秋田杉の七倍くらいの蓄積量があります。この木は幼齢期の耐陰性が強く、暗い太陽光の届かない林の下でも枯死しないで50年もかけて1mの木に成長した例もあり、200年持ちかで耐えていたと見られる例さえもあります。しかし、幼木を覆っていた上の樹木が伐採されたりして取り除かれて太陽光に接するようになると、急速に成長を開始して、1年で60cmも樹高をのばします。天然林の青森ヒバはこのような自然更新をしてきた関係から平均500年生くらいといわれています。現在では300年生を超した樹齢の樹木は非常にマレでわずかしか残っていません。青森県下北半島の東通村の太平洋岸にある猿ヶ森には、約800年前の大津波によって埋没したヒバの純林が発見されました。その木は現在でも立派に使用に耐える材質です。

  

青森ヒバは東北方面の神社仏閣に多く使われていますが、薬用成分が含まれているために湿気や腐れに対する耐久性が強い性質も証明され、水質耐久性が強いので建築では圧倒的に土台に多く使われます。風呂用材にも適し、鉄道の枕木材としても優秀です。

  

反面ヒバの欠点はアテが強く材内各所に出ます。寒冷地に生育しているので樹皮が薄く材の表面近くで凍裂がよく発生します。

  

アスナロは、その名前の由来が「枕草子」に「明日には檜な成りたい」という意味からこの木の名前が付けれたものと書かれています。

  

ヒバは刃当たりが良く俎板に適しています。また常に香りの強い木で、室内の装飾材としては香りが嫌われる場合があり、あまり使われません。

ベイヒバ (米ヒバ)

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樹名

ベイヒバ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

黄色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  強靱
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  強い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 
 

分布:アラスカ南部からカリフォルニア北部のカスケード山脈の太平洋岸にベイヒバは広く自生し、カナダのバンクーバー周辺に多く生息している。

  

アテが少なく性質の良い材

 

日本名で米ヒバと言いますが学術上の樹種はヒノキ属です。ベイヒ(米桧)に比べ円錐形状が強い独特な樹形をしています。樹高は30m、直径は1mくらになりウラゴケ形状が強く現れます。色と香りが青森ヒバに近いので米ヒバの名が付けられました。アテが少なくて青森ヒバより性質の良い木です。純林を形成しないので蓄積量は多くありません。

  

耐久性はベイヒより上で日本での用途は、建築材、内装材、造作材、建具材などに多く使用され、土台角外部造作、軒裏などにも使われます。細い丸太は私鉄の鉄道枕木に使われました。太材はカナダに多いので丸太では輸入できずカスタムカット材の輸入が主流です。本国ではヨットに使います。

  

ベイヒより材面に光沢があります。ヒバのチップはパルプに向きません。

サワラ 

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樹名

サワラ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄淡褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

白色

腐食耐久性  強い
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  中庸
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

 

分布:サワラの生育は主として本州及び九州だが、熊本県周辺を南限とし岩手県花巻市が北限で北海道、四国には生育していない。

   

香りがなく飯台や飯櫃に使用

 

サワラはヒノキから香りと光沢を抜いたような感じの材質をしています。サワラの樹名は「さわら(サッパリとした)」から来ています。樹高は35m、直径1m位になります。

 

方言ではヒノキとも呼ばれることもあり、関東北部では生け垣にされて、糠目のヒノキという意味で「ヌカッピ」と呼ばれます。九州ではナロといったりナロヒともいったりします。サワラは白太は白色、赤みはくすんだ薄い黄褐色で、見た目にはヒノキに似ていますが、スギに近い性質で、日本の針葉樹の中ではもっとも軽い木材です。

 

乾燥もきわめて容易で割裂は簡単にできます。削り加工は楽ですが、仕上げの程度は中庸といったところで美麗さはありません。

 

サワラ材の用途は飯台、飯櫃、水桶、タライなどに使用されます。飯台はサワラの吸湿・放湿性が良く水分による変形が少ない性質を利用したものです。水湿に強く小判型の家庭用風呂桶は有名です。軽くて狂わないので漆器の下地材、計量器、張り板に使われます。

 

宮用材、葬祭具、下駄、酒樽の栓、経木、かまぼこ板、模型用工作材、彫刻材、暖炉の炉輪家具、仏壇などに広く使われます。しかし、この木は量的に少なく建築には、天井板、長押などの装飾材としては使われますが、構造材には材質が柔らかすぎて、使われた例はあまり見られません。襖の中の木材が見えない建具の中桟には、材質がおとなしいので狂いが少なく好評です。障子のように材面を露出して使用するものはすり減りやすいので不適当です。

 

樹皮はヒノキのように檜皮葺(ひわだふ)きに使われます。槇肌(まきはだ)にも使いますが、コウヤマキやヒノキに比べて止水性能が多少劣ります。家具材として軽い材質を生かし桐タンスの内裏側の見えない部分に使われたりしています。

ネズコ (鼠子) クロベ (黒桧)

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樹名

サワラ    
分類  ヒノキ科ヒノキ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯黄淡褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

白色

腐食耐久性  強い
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  中庸
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  中庸 乾燥加工性  容易 

  

分布:ネズコは木曽五木の一つで木曽谷周辺に点在しているほかに隠岐島、四国中部、紀伊半島中部、伊豆半島、房総半島等の山地に点在し分布している。 樹高は約30m、直径80cmくらいに成長する。

 

建具材や和家具に使われる材

 

木曽谷周辺以外の木は大変に枝振りが良く、節が多いので利用途が少ない樹形をしています。鼠子の名は材色が鼠色な為、木偏に鼠をつけて当て字でネズコと読ませていたようです。関東のネズコはイヌビとも呼びます。

 

ネズコはヒノキ科の樹木で、樹皮が桧の皮に似た薄黒い色をしてはげ落ちるような形であり、木の葉の色が黒い杉のようなので、別名をクロベ(黒桧)と呼びます。ネズコ材の感触は天然杉に似ています。ネズコの材質は、サワラとほぼ同じ程度で神代杉のような色をし、米杉と非常によく似ています。収縮率が小さく狂いが少ない反面、光沢には乏しく強度も弱いので構造材には不向きです。切削加工は良好で扱いやすい材料です。

 

この木は材の蓄積量が少ないので市場ではあまり見かけません。サワラや杉の根杢の小物などと共に木材市場に時々出されていました。

  

装飾材として、彫刻欄間、天井板、長押、腰羽目など建具材に適し、屋根用付き柾、天井板、経木小箱、曲げ物、額縁にも使われます。

 

このネズコの仲間には米杉があります。ウェスタンレッドシダーが同種の樹木で、この属の最大の樹種です。

  

米杉の加工に際して材に含まれている殺菌性の薬用成分、トロポロン化合物という物質の影響でアレルギーを起こす弊害がありますが、日本のネズコも同様で鼻炎や眼結膜炎、喘息症状が作業中に起きることがあります。ネズコの切削作業をするにはマスクなどの呼吸防護をした方が安全です。

  

ニオイヒバという園芸種もネズコの仲間の樹木で、アメリカ北東部では生け垣に多用されます。葉を揉むと良い香りがするので喜ばれています。コノテガシワもこの同族です。コノテガシワは小枝が垂直に立って裏表がなく、別名をフタオモテ(両面)とも言います。中国渡来の樹種で漢名は柏、側柏とも書きます。

 

 

 

 

 

 

ベイスギ (米杉)

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樹名

ベイスギ    
分類  ヒノキ科クロベ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

暗赤褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

白色

腐食耐久性  強靱
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  弱い
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  軟質 乾燥加工性  容易 

 

分布:北米の太平洋岸のバンクーバー周辺、オリンピア半島、シアトル周辺に多くベイマツと混交して生育が認められる。さらに南に行くとセコイア種に移っていきますが、南へ行くほどに材色の赤が強く褐色が薄くきれいになり、日本では天井板用になる原木として人気がある。産出はワシントン州が一番多くオレゴン州、アイダホ州、モンタナ州から商業ベースで産出されている。

 

水質に強くエクステリア向きの材

 

太平洋岸のベイスギはウェスタンと呼び、大西洋岸のニューイングランド方面の木はノーザンと呼びます。樹種は日本のネズコです。ネズコに比べ材色は一段と赤黒く、材質はサワラに近くて軽軟です。水質に対する腐朽に強いので、外装やフェンスなどの用途に適しています。ウェスタンのベイスギは非常な大木になります。

 

北米での米杉の一番多い用途は屋根葺き用のシングルと呼ばれている突柾です。北米ではたいていの住宅の屋根はシングルで葺かれています。日本では天井板の化粧に使われる他に色々な張り物の心材として需要があります。

 

床廻り部材の落とし掛け、床框、床柱にはベイスギを心材とした上に、コクタン等の表面化粧用の薄板を貼り付けて作ります。米杉材は狂いが少なく接着性が良いので、天乾状態で安直に使われています(ネリ心材にベイスギは最適)。床の間脇の書院セット、違い棚セットの普及品はベイスギ心材にベニヤの下張りをした台の上につき板の化粧貼りを施した加工品です。建具材には太平洋岸南部の色の薄いベイスギが好まれます。北方系の色の濃い材でも木目が良ければ、天井板に加工できます。色を均等に薄く脱色方法の良い技術が開発され、かなりの色むらのある木も装飾性を高めることが出来るようになりました。材厚は一寸程度の厚い板を、フローリング状に本実加工して使います。

 

イースタンレッドシダーは、日本ではあまり見かけない木材で、同じベイスギですが材色が少し明るい赤色をしています。主に農場の柵用の柱に使われていて、無数の子節があるので製材としての用途は多くありません。アパラチア山脈の南側の高地に生息しています。メキシコ湾周辺の平地には、サウザンレッドシダーが限られた地域にわずかながら生育しています。

 

用途はイースタンとほぼ同じで、レッドシダーと言えばウェスタンレッドシダーのことを指しています。カヌーにされるので別名カヌーシダーとも呼ばれ、用途が屋根用のシングルでもあるのでシングルウッドとも呼ばれます。

カイズカイブキ(貝塚伊吹) ビャクシン(百槙)

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樹名

ビャクシン、貝塚伊吹    
分類  ヒノキ科ビャクシン属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯赤褐色

鉋掛加工性  良好 
辺材の色 

淡黄白色

腐食耐久性  耐久
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  良好
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  やや軟 乾燥加工性  容易 

分布:ビャクシンは別名をイブキという。高山に自生するものは深山百槙といって北海道にもあるが用材になる種類は本州以南の全国に生育している樹種の木で大木になる。

 

出材料が少ないが、良質な材

 

建築材の用途としては量的に出材料が少ないのでほとんど使用例を見ません。主な用途は切削性が良いので鉛筆軸です。

 

近年は日本産のイチイやビャクシンの入手が量的に期待できないので、鉛筆軸は西部アフリカ産のペンシルシダーを輸入して使っています。北米産のペンシルシダーもビャクシンと同じ木で材質は良質ですが大量の入手は難しい状況です。

クロマツ (黒松)

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樹名

クロマツ    
分類  マツ科マツ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

帯赤褐色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

白褐色 

腐食耐久性  不良
芯・辺境界  明瞭 摩耗耐久性  強靱
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬め中庸 乾燥加工性  やや困難 

   

分布:黒松はオマツ(雄松)の別名がある。北海道を除いた日本全土の海岸沿いに生育し、白砂青松と歌われるように、日本の代表的な風景に欠かせない。有名な松林には美保の松原、静岡の千本松原、東海道松並木、島根の関の五本松があげられる。黒松がオマツと呼ばれるのに対し、赤松はメマツ(雌松)と呼ばれる。赤松は産地に生育している。

 

人間と共生する最良の共

 

マツを用材として使い始めたのは製材道具が開発されてからであって比較的近年と考えられています。正倉院の遺物の中にマツで作られたものはなく、登呂遺跡の潅漑堰板や杭は杉が使われていました。鉄製の製材用具の乏しかった時代に木を使う場合には、のこぎりで曳かずにくさびを打ち木を割って板を作ったので、割れにくいマツは広葉樹と同様に敬遠されたのでしょう。

 

マツは利用するのではなく鑑賞するものとして考えられていたと思われます。マツを称える歌に松の緑、松風、松籟(しょうらい)、松韻(しょういん)等があり、お祝いをするおめでたい詩句は松竹梅、松の内、松飾り、門松、松の廊下、松の間、松の位のような言葉があります。長寿を祝う詞としては、常磐の松、松の齢、高砂の松、尾上の松、羽衣の松などがあります。こうした言葉は、常に変わらぬ黒松の勇姿を称えたもので、人間と共生する最良の共としての尊敬の念から生まれたものと思われます。

 

クロマツの樹皮は明瞭な鱗状で、大木の勇姿は天に竜が昇天していく姿にたとえられます。そのため各所の神社仏閣で社木として大切に育てられ、かなりの大木が残っています。

 

松ヤニを取りのはアカマツよりもクロマツの方がよいといわれています。松ヤニは石けんの凝固剤として需要がありました。上手に乾燥されたクロマツ材は油がしみこんで特別に美しい光沢が出ます。これは老松(オイマツ)とよばれ縁甲板の最高級物とされ、老松の床の間板は最上級品で床の間の脇の地袋の前地板には松を使うのが常識とされています。

 

クロマツは水分の多い土中で強い耐腐朽性があります。反面、湿度の高い空気中ではかなりの早さで腐食が始まります。水中耐久性を利用してクロマツ材は橋や港湾の杭、桁、扉、水門にも使われます。安芸の宮島の特産品に松盆があります。これはクロマツをろくろで加工した茶托やお盆で、松ヤニを擦り込んで磨き上げ古色を帯びた良い色に仕上げてあります。材として宮崎県のむかさ松が最高級品と称されます。

アカマツ (赤松)

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樹名

アカマツ    
分類  マツ科マツ属 鋸挽加工性 

容易 

芯材の色 

淡褐白色

鉋掛加工性  容易 
辺材の色 

白褐色 

腐食耐久性  不良
芯・辺境界  不明瞭 摩耗耐久性  強靱
斑の模様 

不明瞭 

糊付接着性  良好 
硬さ状況  硬め中庸 乾燥加工性  やや困難 

  

分布:アカマツの北限は北海道渡島半島で、以南の海岸から離れた山地に生育する。

 

耐久性に富み構造材に利用される

 

アカマツは杉のような装飾性が乏しく、また脂が出るので桧のように肌との接触部分に使われることが少なく建築材としての評価は低い方です。

 

主な建築材の用途としては、屋根小屋組の梁として丸太や太鼓払いの状態で使われます。また、耐久性があるので二階梁、根太掛けなどの強度を要する構造材に使用されます。

 

脂のでない良材は敷居や鴨居などの摩擦部に使うとよく滑る上に、耐久力があるので好んで使われます。丹波地方で採れる直材の丸太は、皮付きのままで茶席の床柱、竿縁に使います。

 

アカマツのもっとも有名な利用は、土中杭です。水分のある土中に杭として打つと腐食しにくいので、明治以降に需要の増えた鉄筋コンクリート作りのビル建設の土中土台に使われました。東京の丸の内のビル群は岩盤状に埋積した河口土砂帯の上の軟弱な地盤の上に立っているので、建物の基礎として1坪に6〜9本、40尺のアカマツ丸太を打ち込んでありました。

 

昭和60年にその古い建物群が取り壊されて改築され始めましたが、土中から引き抜かれたアカマツの杭は全く腐ってはいなく、梁材に製材されて再活用されました。